流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

紅白を観て老いを感じる

昨年末、私はテレビをみながら老いを感じた。こうやって歳を重ねていくんでしょうね。人間っていうやつは。そのきっかけになったのは年末の定番である紅白歌合戦でした。年始に妻の実家に帰る必要がなくなってしまったため、年末はのんびりと過ごし、その流れで自宅で紅白歌合戦などを視聴していたわけです。

 

そこで私が一番良かったなーと思えたのはこの曲。感動したんですよ。そして、凄いメンツを呼べたねって感謝したわけです。(後で知ったのですがこの放送で流したのは1本どりの録画だったのですね)

 

桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎「時代遅れのRock'n'Roll Band」


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歌ったのは桑田佳祐さん、世良公則さん、佐野元春さん、charさん、野口五郎さん、の5人。それぞれ個性あるメンツ。桑田さんが声をかけなければ実現しなかったと思います。このようなビッグネームを紅白歌合戦に呼べたことを素直に拍手したい。すばらしかったです。

 

思い返してみると、私にとって紅白歌合戦といえば、演歌などの年配向けの曲ばかり。老人の曲を歌ってもらってもそもそもダサいしかっこ悪いし、盛り上がれない。そう、いくら老人さんたちが喜んでも、これじゃ盛り上がれんのです。

 

それに比べて、今回の紅白歌合戦ではロックの大御所が力を合わせて聞き覚えの在りそうなメロディラインを歌い楽しそうにしてるわけですよ。これだけで、こりゃすげーなって思うわけです。さらに、原由子さんはもとより大友康平さんとかハマオカモトさんを呼べたのも良かったよねぇ。凄いすごい。

 

桑田さんは「いつも素敵なトラックに乗っている大友君!」とか言いながら笑いを誘ったりするわけです。こういうのを見ると、あー、やっとNHKさんもわかってきたねぇ、って思ったのです。視聴スタイルが多様化するなかで、右肩下がりの視聴率低下に歯止めをかけるために視聴者にズドンとくるチョイスをしてくれたんだろうなぁ、と。。そう感じて素直に感動してたわけです。

 

...と思ったのですが、、、けどね。よく考えたら違ったんですよね。

 

今回の紅白歌合戦のこの曲に大きく反応をしていたのは年齢が40代後半から60代後半ぐらいまでの世代の人たちなんです。今の若者たち、特にz世代の子たちは全く反応していない。

 

そりゃそうですよね。z世代がサザンオールスターズを積極的に聞いてる印象なんてほとんどない。百歩譲ってサザンオールスターズや桑田佳祐さんはギリギリわかるけど、それ以外のスターたちは名前すら聞いたことがない人たちっていう評価のようです。

 

なので、今回の紅白歌合戦でのパフォーマンスも知らないおじさんたちがじゃれあっているくらいの評価しかなさそうなんですよね。この事実に気付いてしまったのはショックでしたねぇ。今のz世代の若者たちにとっては、少し昔懐かしいロックはあたかも演歌のように感じるんでしょう。今の時代の若者たちにとって活気があるメインストリームではないんですよね。あたりまえですけど。

 

そう思うと、私が今回の紅白歌合戦を楽しんで見れたことは私が「おじいさん化」しているということの証左なわけであり、10年前までは演歌がメインストリームだったところから排除され、ロックもその領域に収まってきたということ。

 

つまり、私が今回の「時代遅れのRock'n'Roll Band」を楽しめたのは私のようなアラフィフ(around 50)世代がテレビ視聴者のど真ん中に入ったということなんです。音楽というのは時代を映す鏡のようなもの。佐野元春さんがどれだけかっこよくても、今の世代の人はほとんど知らない。知る必要もない。

 

なので、今のアラフィフ世代から70代くらいまでは、時代遅れになることを自覚する必要があるんだなと思いました。改めて感じてしまったわけです。悲しいかな。

 

でも、この曲にはそのような想いも包含されている歌詞なんですよ。ダサくてもいいじゃないかっていう、そんな思いが込められているわけです。改めてかっこいいなと思いました。ダサいかもしれない、けどやっぱりかっこよかったよ、何度も聴きたい。そんな曲でした。

そう思うと複雑ですよね。自分の老いを嘆きつつも、20年後もこうやって元気に歌える現役世代でありたいなぁと思った2022年の年末でした。