流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

日産が新車ラッシュ

日産が新車ラッシュである。



日産自動車は30日、新型小型車「ティーダ」を発売した。

9月から05年1月までの5カ月間に投入を予定する6新型車の第2弾。発表会でゴーン社長は、6新型車すべてを日産の2系列の販売会社で併売すると表明した。(ロイターより転載)



さてさて。車大好きなワタクシですが、実はこの6車種の売れ行きにはに大いに注目している。というのは、これまでのゴーンさんの実績は確かに目覚しいものがあったが、あくまでもそれはコストカットの側面が強かったからだ。今回の新車ラッシュはゴーンさんになって初めての日本市場での本格的なシェアの増加を見込んだ積極的な新車投入と、現在の販売店戦略の見直しが含まれている。



業界にもよるが、コストカットなどで実績を上げることは有能な経営者にとってそれほど困難なことではない。ただ、日産のアニュアルレポートを見ると分かるとおり、売り上げや連結売り上げ台数などは実はあまり伸びていないのが現実である。つまり、今までゴーンさんが行ってきた実績は「コストカット」による側面が強く、新聞報道でみられるような礼賛はされるべきではない。コストカットは特に、自動車などの投資負担が大きい産業であればあるほど効果が顕著に現れるからだ。



では何故?前の経営者がコストカットをしなかったのか?自動車などの産業では、研究開発費用や設備投資に大きくカネがかかる。ただ、その費用を削ってしまうと新車や新技術の開発で他社に遅れをとってしまい、長期的に見るとマイナスになってしまうからだ。そのことを経営者は知っている、そして現場からは猛反発を喰らうのも見えている。だからして、経営者は問題を認識しつつも、大胆なコストカットが出来ないのである。



会社の業績だけをみると、これまでのゴーンさんのやり方は大成功と言える。ただ、自動車産業で大胆なコストカットで企業の建て直しを試みて、途中まで似たような成功を収めた会社がある。あのクライスラーである。




リー・アイアコッカ氏は倒産の危機にあったクライスラーを救い、アメリカ経営史に残る企業再建として賞賛された(そして、賞賛されるにふさわしい偉業であった)。在任期間のほぼ半分までで、クライスラー株の運用成績は市場平均の2.9倍に達した。

 クライスラーアイアコッカが引退した後の5年間、栄光を取り戻したが、それも短期間に終り、企業としての基礎体力が弱かったため、ドイツの自動車メーカー、ダイムラー・ベンツに買収される結果になった。(ビジョナリーカンパニー2より一部抜粋)






ゴーンさんはアイアコッカ氏の功罪(色んな意味で)を知った上で日産を経営しているのはほぼ間違いなく、同じ罪は犯さないと思っているでしょう。日産が出した新車は、自動車評論家の声は上々のようですが今後売れ行きはどうなるんでしょうか。

販売店戦略も含め、今後大いに注目したいところです。