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流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

クラウドコンピューティングって何?(その4)


前回までのクラウドコンピューティングに関するエントリーでは、クラウドは「安く」「早く」構築可能システムで、効率化されたシステムであることを書いた。では、今後クラウドが多くの企業で採用され、ユーザーが増えて稼動実績が増えると、IT関連のベンダーを取り巻く環境がどう変わるのか。


今後起こりうることとしては、クラウドコンピューティングの使い勝手が向上してユーザーが増えると、既存のITベンダーのサーバーやソフトウェアのライセンス販売ビジネスが縮小するのとは対照的に、クラウドコンピューティングに付随するサービスを提供する会社が出現するようになり、これまでになかった新しい市場ができあがることが予想される。


そして、新しいサービスを提供する会社が、市場で相互に補完しながら共存・共生していくのだ。一言でいうと「エコシステム」が形成される・・・。これが、今考えられるシナリオだ。

  • エコシステムの形成

またまたITproより引用。

クラウド・コンピューティングは,長らく続いた「ハードウエア/ソフトウエア販売」「システム・インテグレーション」というIT業界の構造を変え始めている。これまで業界の盟主であった米IBMMicrosoftも,クラウド・コンピューティングへの対応を急ぐ。売り上げに占めるオンライン・サービスの割合が,5%にしか過ぎないMicrosoft。そのCEOであるSteve Ballmer氏は,2007年11月に日本で「10年後,自社が管理するサーバーでデータを保持したり,
トランザクションを実行したりする企業は無くなるだろう」とまで断言した。
既に,主力製品の一つである「Exchange Server」のSaaS展開を始めたほか,2009年前半にはストレージ/データベース・サービス「SQL Server Data Services」を開始する予定だ。

(中略)

業界の盟主がこれほどまでに焦るのは,彼らが作り,育ててきたコンピュータ業界の「エコシステム」が,AmazonGoogleが生み出したクラウド・コンピューティングによって置き換えられようとしているからだ。
 エコシステムとは例えば,OSというプラットフォームに関連して,そのOSで稼働するアプリケーションやデータベースといったサードパーティ製品があり,それらを組み合わせて販売するシステム・インテグレータが存在することを指す。

 これまで,「メインフレーム」「クライアント/サーバー(C/S)」「Webシステム」と変遷してきた企業向け(エンタープライズ)システムはいずれも,
IBMMicrosoftといった単独のベンダーだけでなく,強固なエコシステムによって支えられてきた。プラットフォームの価値は,エコシステムの価値に左右されてきたのだ。

実は既に,クラウド・コンピューティングにもエコシステムが誕生している。例えば米RightScaleは,Amazon EC2仮想マシン上でMySQLを運用したり,
クラスタリングしたりする管理サービスを提供するベンダーだ。同社CEOのMichael Crandell氏(写真1)は「我々のサービスは,EC2というインフラを管理する“ミドルウエア”に相当する」と語る。

冒頭で紹介したAnimotoも,Right Scaleが提供するサービスを利用している。RightScaleというミドルウエアの存在が,EC2というインフラの魅力を高め,
Animotoという「アプリケーション」をEC2に引き寄せたのだ。

2006年にスタートして人気を博しているコミュニケーション・サービスの「twitter」も,ストレージにAmazon S3を使う1社である。Salesforceにもサードパーティ製アプリケーションが存在する。会計パッケージ・ソフト・ベンダーの英CODAは,Salesforce.comの「Force.com」を使って会計SaaS「CODA 2go」を開始した。このようなサービスの種類や量が充実してくれば,もはや古いエコシステムは必要なくなる。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081007/316292/


なるほどなるほど。
 これまで,「メインフレーム」「クライアント/サーバー(C/S)」「Webシステム」と変遷してきた企業向け(エンタープライズ)システムはいずれも,時代を経るにしたがってIBMMicrosoftといった単独のベンダー一社だけでなはく、それぞれが役割分担をしながら市場を形成し、成長しながらそれぞれの得意領域で特長を出し合うことにより、秩序が保たれてきた。。


たとえば、これまでサーバーベンダーとユーザ企業、そしてソフトウェアを提供する会社を例に取るとこんな感じだった。
 ⇒ユーザ:使ってる企業が多いプラットフォームは無難だし、使えるソフトも多いやつを選ぼう
 ⇒ソフトウェア会社:ユーザが多いプラットフォームにソフトを提供する方が、より沢山の売り上げが見込める
 ⇒サーバーベンダー:たくさんのユーザが見込めるプラットフォームをユーザに提供しよう


いままでは、シェアがより多いOSがあり、その上で稼動するミドルウェアや開発ツールがあり、それを作るスキルを持った開発者が多く存在し、それを売る人たちがいて、そのシステムを使い、新たな新機能を欲しがるユーザがいて生態系が成り立ってきた。これにより、勝者がさらに勝者になるポジティブフィードバックサイクルが出来上がってきたのだ。

  • 既存のベンダーが感じている恐怖

ところが、クラウドコンピューティングの出現により、これまでのポジティブフィードバックサイクルを支えてきたエコシステムが根底から覆ろうとしている。だからこそ、ベンダー各社は「クラウド」を叫び始め、取り組みしていることを必死にアピールしているのだ。


もし、GoogleAmazonSalesforceの提供するクラウドコンピューティングが一気に広がり、稼働率があがるとどうなるか。たとえば稼働率保障されたサービスで、そのプラットフォームで提供されるサービス内容が割に合った内容であれば、サーバのOSにこだわる理由はあまりなくなるし、サーバメーカーが提供するクラスタ化技術に高い金を払うこともなくなるし、DBも新規構築するのはクソ高いライセンス費用にこだわる領域は減るし、外部ストレージのバックアップ技術も適用する範囲は狭まっていく。これまでのITベンダー各社は利益の源泉がなくなってしまう脅威を感じていることだろう。


クラウドはまだまだ適用できる領域は少ないものの、今後適用できる範囲が広がり、現実になれば長らく続いたMicrosoftOracleなどを中心としたエコシステムが崩壊し、ITベンダーの勢力図が大きく変わる可能性を示しているのだ。

  • 現時点での勢力はどうなってるの?


これまでのエコシステムに当てはめて考えてみよう。各レイヤーで同様のサービスを提供するクラウドコンピューティングのキープレーヤー(amazonGoogle,Microsoftなど)に置き換えると、現時点では以下のようになる。今後は、この隙間を埋めるサービスや、このレイヤーにないサービスを提供するプレーヤーが現れ、新たな市場を形成していくことになると思われる。

すごーくシンプルに書くとこんな感じか。

                                                      • -

カスタマイズされた個別アプリ ⇒ (SIerが開発するアプリ、他)

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パッケージソフトウェア ⇒ SaaSGoogle,Salesforce,他多数)

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ミドルウェア ⇒ PaaS (Google,amazon他)

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プラットフォーム サーバ/OS領域 ⇒ IAAS (amazon

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この流れを早く作り出し、いち早くサービス提供者と顧客の囲い込みをした会社が今後のクラウド市場の勝者になるだろうといわれている。この陣取り合戦は、10年前における検索市場の黎明期の様相を呈している気がするが、ただ、確実に違うのは、市場が拡大する中で有力なプレイヤーが参入し、急ピッチでシェアの確保を狙っていることだ。

じゃ、今後どうするべきなんでしょう?ってのは、次回にでも。