流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

新規事業という甘い誘惑

直近の2年ぐらい社内の新規事業の検討というものをやってきたのですが、

この4月からまたもとの営業職に戻りました。ちょっと悲しいというか寂しい思いをしました。新規事業に携わったことによる気分の高揚、そして悲しみと辛さ。今日は、そんな思いを書きなぐっていきます。

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新規事業って辛い

私は日本企業に勤めているのですが、日本が高齢化によって社会の硬直化が進み、社会の至る所で閉塞感が出てきています。おそらくは誰しもが感じていることと思います。多くの日本企業が「変わらなきゃ」というマインドで変革に着手していることでしょう。

 

私も多分に漏れず、新しい事業にチャレンジしました。そして、私が新規事業に携わったこの2年間は様々なことがありました。しかし、この2年間では最終的には何も生みだすことができませんでした。

 

なんというかね、ちょっとした中途半端な感じというか。敗北感なのか喪失感というか。実に複雑な気持ちでなんとも言えないモヤモヤを感じてます。自分だけでなく、チーム全体が感じていたようなので、リーダーとして無力感を感じてしまった次第です。

 

思い出すと、確かに途中の経過には満足いく部分がありました。事業コンセプトをつくり、数十社にヒアリングをしました。そして、いわゆるMVP(Minimum Viable Product)的なものを作成し、事業パートナーの方にお金をお支払いいただき、ユーザ検証を実施することができたのです。

 

また、途中で様々な業界の方の第一人者の方々とディスカッションしました。その中で、プレスリリースも発表して、その後に某大学教授の方とも連携の話もしました。

 

自分なりに精一杯やったという自負はあります。そして、仮に会社人として「合格」とは言えないまでも、拍手をもらえるぐらいにはやったとも実感しています。しかし、最終的に何も産み出せませんでした。

 

この事実は変わらない。総じて言うととっても辛い2年間でした。

 

新規事業って終わりがありませんよね。貴重な経験になったけど、もう経験したくないかな。って思えた2年間でした。次にやれと言われたら多分お断りすると思います。そんな権利ありませんけど。

 

新規事業創出で感じたこと

・・・んで、そうそう。1点思ったこと。これは革新的な事実かもしれないけど、2年間を振り返って思ったのだが、特に目立った業績を上げていない私のような中間管理職のおっさんにとっては、企業内起業っていうのは甘い響きがあるんですよ。

 

要するに、何か、勘違いしてしまうんです。企業中で(ベンチャー企業と比較して)安定した組織に所属していながら、好きなことを検討でき、それでいて一発大逆転が狙えるような、そんな勘違いができてしまうのです。

 

これまで真剣に事業を考えてきた人たち、そして、その人たちは、いわゆるエリートといわれる人たちです。新規事業では、優秀で実績を上げている人たちを一発大逆転で出し抜けてしまうのではないか?そんな勘違いと爽快感を感じてしまうんですよね。正直言ってタチが悪いです。

 

まぁ、世の企業内起業家の方々はそういうことを突き抜けて考え行動をする人たちなので、そんなことを気にすることもないと思います。しかし、おっさん、かつ、中途半端なキャリアを積んできたおっさんには少し耐えられなかったなぁと。

 

なぜそんなことを思ったのか?

だとしたら、なぜ私はそのことを思ったのか?その前の営業活動で私は営業活動の閉塞感をずっと感じていたので、新規事業の検討に対して、とってもとっても甘いことを考えていたんですよね。

 

そう。ここが社会人人生の転機になるんじゃないかって。何の確信もないのに、新規事業に対して夢を見ていたのかもしれない。けれどもそんなことはあり得ないんです。新規事業でもリーンスタートで試行錯誤、苦しい作業の繰り返し、それを少しずつ大きくしていくこと。

 

それに(終わりに近づいてから)気づきました。一発大逆転はないってこと。まあ、だから駄目だったんでしょうね。いい勉強になりました。

 

けれども、その一方で思ったこと。

 

もしかしたら、そういう甘い妄想しながらでないと続けられないくらい辛いのが新規事業の検討、ということなのかもしれない、と思いました。だから、何の後ろ盾もないベンチャーの起業化はすごい精神力を持っているんじゃないかってこと。

 

そう、つらいんですよね。無から何かを生み出さなければいけないは辛いんです。例えると、ずっと素振りを繰り返していたような感じ。これ、いつか形になるんだろうか。続けられるんだろうか。ずっとそんなことを感じながら日々過ごしてました。

 

そういうことから解放された今、ちょっとほっとしたような、けれども多くを失ったような。複雑な気持ちが なんともいえぬ喪失感につながっているのかもしれません。産み出せてよかったのか?元の営業職に戻れてよかったのか?果たして良い経験ができたのか?等々

 

たぶん、もう少し時間が経たないとその答えは出ないかもしれません。けれども、この経験をしてよかった、という会社人生にしないといけないですね。というわけで、この何とも言えない気持ちを文字にしてみました。

 

早くこのもやもやを葬って気持ちが晴れるといいな、と思ってます。合掌。