いやー、この本にはかなり引き込まれました。
とにかく、この本はとても寂しくなる、そして悲しくなり、悔しくなる本でありました。時代に翻弄されたビジネスマン、稀代の起業家である江副浩正さんのことを事実やコメントなどの史実をもとに書き起こした本です。良書と思います。
江副さんの人生は、政治、そして検察に翻弄された、いや時代に翻弄された人生ということになるのでしょう。
情報の非対称性を見抜き、ビジネスになると見込む。それを、ゼロからイチにすることに情熱を注ぎ、強烈な個性で形作り、組織を引っ張っていく。江副さんは間違いなく天才だったのだろうと思う。
だからこそ寂しく悔しい。440ページを超えたあたりから涙があふれてきました。そして、エピローグを読み終わった後は涙が止まらなかった。
この本を読んで、改めて感じるのは、きっと、今の日本はどこかで間違えてしまった、ということ。もし、パラレルワールドがあるならば、江副さんが時代に翻弄されてなかったなら、日本が今のように落ちぶれていないのではないか。
もしかしたら、いまでもアメリカや中国と対等に渡り合えていたのではないか。そんなことをふと思ってしまうわけです。
この本を読みながら、いろいろなことが思い出されました。ホリエモンの逮捕、そして「国家の罠」を記した佐藤優さん。そんなことを連想してしまうのです。検察というか、おそらく時代に翻弄されたのです。
この本の登場人物は、それぞれの正義に従って信念をもっていたのは間違いないけれど、その後の日本の停滞を見るに、全部が全部とは言わないけれど・・・、でもやっぱり結果からするとリクルート事件は、その後のニッポンの停滞を象徴するような「失敗」だったのと思うのです。
だからこそ、今いちど私たちは反省し、原点に立ち戻るべきかもしれないな、と思えました。昨今の日本の停滞ぶり。そして日本がどうしたら復活するのか。そこは、真摯にリクルートを見習うのがよいのではないのかな、と感じました。
ではどうやって見習うのか?その答えは本書の441ページに記載された
「江副が去った後も、リクルートは奇跡の会社であり続けた」
この1フレーズに凝縮されていると思います。
時代に翻弄されながらも、信じること、そして成長をし続けること、きっと創業者に近い人ほど奇跡を信じ続けたのではなかろうか。そうやって、リクルートという会社は巨大な負債を抱えたまま、一部は不満を抱えつつ、それでも復活した。
そして、2021年の今でもリクルートは存在している。そう。きっと、リクルートの精神を以て、日本人が生きていくべきなのかな、と。
これからの日本は江副さんの精神をもって、チャレンジし続ける。そうしたら、きっと、日本が復活できる。そんなことを筆者の大西さんが言いたかったのかなと思いました。そう感じ取れる熱い本です。
All Hands on deck!!
ありがとうございました。