流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

Google Developers DayでAndroidケータイの実機を配った話を又聞きして思う

数日前になっちまいますが、これはすごいな。Googleの本気度が見える。

以下、クレイジーワークス総裁日記より引用。

Googleが横浜で大きいお友達1500人以上に無料でAndroidケータイの実機を配った話。


基調講演でドコモの永田清人執行役員プロダクト部長が6月発売のHT03Aのプレゼンをした。単機種でCMを流すとか、キャンペーンサイトを始めましたとか、サポートプラン(2年縛り)で3万円(縛り無しで5万円)で発売など、さんざんドコモがアピった後、Googleから、すごいアナウンスがあった。全員にAndroidケータイを配布するとのこと。さっきドコモのエラい人がプレゼンをしたHT03AのSIMロックフリー版だ。しかも、ドコモの発売前に配るという暴挙にぼくは凍りついた。おかげで、その後のmixiの笠原社長のプレゼンはぜんぜん頭に入らなかった。ごめんなさい。
(後略)

http://v.japan.cnet.com/blog/murakami/2009/06/10/entry_27022934/


いやー、この文章にあるmixiの笠原社長のプレゼンは・・・のくだりがいかに凄い事だったかをリアルに伝えてますな。SIMロック版フリーってことは・・、他社のSIM(っていうか、日本ならソフバン)を使えちゃうわけで、まぁ日記にもあるようにかなりの難仕事だったに違いない。


まぁ、Androidケータイを開発者向けに配布するってところ自体が、開発者を増やすことに対してのGoogleの本気度をあらわすには十分なパフォーマンスだったろう。間違いなく効果大。
Googleという会社がサプライズに満ちていて、開発者に優しく、オープンであることは間違いなくアピールできた。


んで、今後は来るべきスマートフォン市場でのAppleとの対決だが、どうなるんでしょう。

Androidは開発者から見れば魅力的なプラットフォームだ。しかし、後発であるためiPhoneの勢いに負けまくっていることは否めない。

AndroidiPhoneよりも、「開発者から見ると」アドバンテージはかなり大きい。開発キットは無料だし、iPhoneMacOSでないと開発できないが、AndroidLinuxでもMacOSでもWindowsでも開発ができる。iPhoneの開発言語はアクの強いObjective-Cだが、Androidは勝手知ったるJavaだ。iPhoneのアプリは承認が通らないと配布できないが、 Androidは承認も何も無くても配布できる。iPhoneはOSのコードは公開されていないが、Androidはかなりの部分が公開されている。

しかし、ここまで開発者にとって、アドバンテージがありすぎる環境だけど、普通の人にAndroidのアドバンテージを説明するのは難しい。つまり、通勤電車の中でメールをデコメをプチプチ打ったり、学校の休み時間に「くりのっぺ」で遊んでいる人たちや、着うたやiPodを一日中聞いている人たちや、寝る前にケータイ小説を読み始めて思わず夜更かしをしてしまうような方々にとって、Androidのメリットは説明しにくい。iPhoneのように音楽コンテンツが強いわけでもなく、ガラパケータイのように無数に対応サイトがあるわけでもない。そう、すでに既存のケータイにコンテンツがあふれまくっているけど、Androidはそこまであふれまくっていない。


今後は、いかにしてエコシステムを構築してポジティブフィードバックサイクルを作り出せるかにかかってくる。Appleはマイナーチェンジで本体価格を下げて、アーリーアダプターからアーリーマジョリティを超えて幅広く購入されるような戦略をとってきた。また、Appleは信者が多く、既に開発者の囲い込みは済んでいるので、端末を値下げして利用者を増やす作戦はこの不況下でシェアを伸ばすには最適な戦略だろう。


対してGoogleは、開発者の囲い込みからはじめなくてはならない。後発の不利もある。
まぁ、エコシステムの構築には、端末/OS/アプリ/アクセスネットワーク/課金システム/コンテンツなどなどが一体となって協調しながら発展していく必要があります。それぞれが違うプレイヤーであるAndroidですが、成熟市場ではそれぞれのレイヤーでの争いが活発になるといわれており、Googleの勝算は大いにあると思ってます。少なくとも日本国内では端末の完成度が勝負を分けるでしょう。
今後どうなるか楽しみですね。