イギリスの若者たちが巻き起こしたロンドンの暴動。景観による黒人男性の射殺事件を発端とした騒ぎだったが、ひとまず騒ぎはいったん収束したようだ。この事件の背景には、若者に広がる社会全体の閉塞感があるのは間違いないだろう。
一連の事件で知ったことは、日本でもかなり前から働かない若者たち(ニート)が社会問題になっていたが、日本だけの問題じゃなかったってこと。
まぁ、世界がフラット化してるんだから当たり前かもしれないね。日本は欧米の財政問題を抱えている国々と比較すると失業率はまだマシ(少なくとも数値上は)だけど、終身雇用システムがまだ残ってるそのしわ寄せが若者に来てるのは疑いようも無い事実。
とにかく間違いなく言えることは、他人事じゃないってことだ。このまま社会がグローバリゼーションしてくんだったら、日本のような資源なしで賃金高かつ教育水準がさがっているこの国は真っ先にあおりを食らうだろう。これまで公用語が英語でなかったことは外圧からの障壁としてうまく機能していたが、今後は英語を使えない国民であるデメリットの方がより顕著に現れてきてしまうんだろう。
そんなことを薄ぼんやりと考えながら石田衣良さんの「非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパーク?」読んでみた。私はこのシリーズが大好きで、文庫本化されたものは全部読んでいる。
非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク〈8〉 (文春文庫)
- 作者: 石田衣良
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/09/03
- メディア: 文庫
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今回のシリーズは非正規の雇用者の問題やシングルマザーなどをうまく題材として取り扱っており、初期作品のころからはだんだんと重いテーマになってきてると感じ、それが主人公のマコトの成長を感じさせてくれます。
シリーズを読んでいていつも「いいなぁ」と思うのは、テンポのよさで飽きさせないことと、ちゃんと前向きな気持ちにさせてくれることです。
なんでいつも都合のいい終わり方してんだよって批判があるけど、こういう社会問題を取り扱って、若者視点からちゃんと前向きな答えを出そうとするところが大好きです。だって、この時代で日常生活を営んでいて、前向きになろうって思える事ってなかなかないよね。(悲しいけど)
だから、この本は現代におけるおとぎ話として、新しいスタイルのヒーローものとして読むのが正しい読み方なんだと思う。
読むとさわやかで幸せな気分に浸れます。やっぱりこのシリーズはいいんだぜ。