池田信夫先生のブログでレディオヘッドの実験というエントリーがあった
面白い記事だったので、備忘録として書いてみる。
レディオヘッドのニューアルバム"In Rainbows"は、ウェブサイトで消費者が価格を決めてダウンロードするという新方式で発売された。その結果は、実に10日間で100万ダウンロードを超えたという。平均価格は9.1ドルと、普通のアルバムとそう変わらない。
バンドの取り分は90%だというから、通常のCDのロイヤルティ(5%)よりはるかにもうかったことになる。
まぁ、ここまではへーそうなんだと思える記事だが、価格設定の方法が面白い。
購入する人たちが価格を決めてダウンロードするという新方式だからだ。センセイのコメントにあるように、これだけの価格がつくのはすごいらしい。
こういう場合、新古典派経済学では、ユーザーは価格ゼロを入力するのが「合理的」な行動だが、これだけ高い価格がつくというのはおもしろい。ただP2Pサイトなどから違法にダウンロードしたユーザーも、30万人いたようだ(*)。ちなみに、私は3ポンド払った。MP3でコピーフリーだから、どんなプレイヤーでも聞けるし、音楽的にもいいアルバムだ。
違法ダウンロードするユーザーがいることは織り込み済みだと思うけど、すごいのはMP3でコピーフリーにすることだ。
これはチャレンジだったと思う。関係者に敬意を表したい。
価格が市場ではなく消費者によって一方的に決まるメカニズムというのは、おもしろい社会実験だ。少なくともレディオヘッドぐらい質の高い音楽なら、著作権がどうとか下らないことをいわなくても、超効率的に音楽を売れることがわかったわけだ。これから、こういうレーベルを「中抜き」した音楽配信が増え、ウェブによってアーチストの表現方法も多様化するだろう。
これから同様の手法を真似するアーティストも出てくるかもしれない。
間違いなくネット販売は1つの一般的な手法になっていくだろう。今後の課題はコメント欄にもあるとおり
レディオヘッドは、既にブランドが確立して収穫期にあるバンドなのでこういった手法も採れるのでしょう。問題は、新しい才能の発掘をどうするかでしょう。
という一言に尽きると思う。
バンド結成からレーベルに依存しないアーティストで、ちゃんと飯を食っていけるだけの収入を得られる人たちってどれだけ出てくるんだろうか。
従来の業態はものすごい勢いで変革を迫られてますなぁ。