流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

あわせて読みたい。ピクサー流想像するちから、と、コンテンツの秘密。


ピクサーの共同創業者で社長のエド・キャットムルさんと日本のとコンテンツビジネスを創ってきたカワンゴこと川上量生さんがそれぞれ書かれた本。それぞれ別のタイミングでオーダーしたけど、川上さんの本が1ヶ月ほど遅れて配送されてきたため、「たまたま」連続して読んだ。
私としては、この2冊を続けて読んだことがそれぞれを引き立て、非常に印象にのこった。川上さんの本がオーダーして1ヶ月間配送されなかったのは神の悪戯なのか、と思ってしまったぐらいだ。それほど、この2冊を続けて読んだことがよかったのだ。



まず、ピクサー流創造するちから。


ピクサー流 創造するちから―小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法

ピクサー流 創造するちから―小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法


Facebookで何人かがおススメしてたので、思わず購入してしまった。そして、読み終わって感じた。この本は、すばらしいコンテンツを創る組織を作りあげるか?を書いた自叙伝であり、最高のマネジメント本だ!ってこと。


ピクサーに関しては、いまとくに説明するまでもないだろう。『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』などなど、アニメーションの世界でヒット作を連発したピクサー。決して順風満帆ではなく、経営危機に陥ったこともあり、ヒット作に恵まれるまでに、いろいろと苦悩している様子やヒット作を世に送ってからも、組織の危機に対峙していく様子が描かれている。


見えない脅威にいかに立ち向かい、組織をマネジメントしていくのか?そして、いかにヒット作をとばし続けられるのか?その具体論が経験談とともにたくさん描かれています。


一般的にコンテンツビジネスは想像力こそが第一で、クリエイターの技量や才能と思われがちですが、創造的なコンテンツを産み出すための組織運営の具体的な方法や、常に変わり続ける経営を目指す組織論が語られています。


コンテンツビジネスや新規スタートアップのトップマネジメントはもとより、多くのビジネスマンに、この時代を生き抜くリーダーに必要なものは何か?と考えさせるものがいっぱい詰まっている本です。


あと、これはオマケに近くなってしまいますが、スティーブジョブズに関する内容も多数記載されておりこれがまた良かった。
どうも、スティーブジョブズ本というと、単なる扱き下ろしや一方的な賞賛になってしまいがちであるが、キャットムル氏の経営目線で彼の人間性や苦悩が伝わってくるようなエピソードが多数収録されており、ファンにはたまらない内容かもしれない。

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コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと


コンテンツとは何だろう。クリエイターとは何をする人なのか?ヒットするコンテンツにはどんな法則があるのだろうか。そんなことを、ジブリでプロデューサー見習いをしながら学んだ川上さんの仮説に沿って一緒に考えさせられます。川上さんの経験をもとに語られており、ハッとさせられるポイントが多いです。


川上さんのドワンゴジブリでの見習いの経験をもとに、
コンテンツの定義や情報量とは何か?を川上さんの視点で説明していくのは楽しいです。結論はありきたりですが。


読み途中に何度も思わされたのは、「やっぱり、川上さんの視点は独創的であり、彼は変態であり、天才なんだな」ってこと。そして、川上さんと私はいろいろなものを思考する際の積み上げのレベルが違うのか、それともベクトルが違うのか、と考えたけど、多分両方なんだなと感じました。
川上さんが語るジブリのこぼれ話もあるので、ジブリが好きな人にとっても楽しく読めるのではないかと思います。


ただ、2冊を読み終えてわかったことは、ヒット作を仕組みでつくるピクサーと、天才の才能にすがるジブリ。ってことで味わい深くもちょっと寂しくなった読後感であったのでした。