セカイカメラをインストールしたはいいが、凄さに驚嘆しつつもこの革新的なアプリをただただ驚きをもって見守るしかなかった。自分の中で消化しきれなかったのだ。
で、先日。友人から「秋葉原でセカイカメラがすごいことになっている」と言われて行って目の当たりしてきた。そしてやっと、なんとなくセカイカメラのことを理解できるようになった。
一言で表現するならば、
「セカイカメラは現実世界のニコ動なのだ」と。
■セカイカメラとは
はてなキーワードより
井口 尊仁(頓智・ id:roadracer)が開発した、現実空間にコンピュータが作り出した情報を重ね合わせ、補足的な情報を付加する技術(拡張現実技術)を用いたiPhone 3G向けアプリケーション。 リアルタイムに撮影している映像と重ねて,「エアタグ」と呼ばれる半透明のアイコンが現れる。 ユーザーの位置からの距離に応じて,アイコンの大きさが変わる。タグをタッチすれば,そのタグに関する詳細な情報が現れる。ユーザー同士の情報交換も可能。自分の位置にコメントを残しておくことで,同じ場所に後から来た友人にメッセージを渡せる。
これを読んでもピンと来ない人は多いと思う。セカイカメラを理解するのなら、ニコニコ動画と対比させて端的に考えてみるとわかりやすい。
ニコニコ動画 = 動画×ユーザコメント
↓
セカイカメラ = 現実世界×ユーザコメント
ニコニコ動画の「つながってる感」と、はてなブックマークのコメントの「ちょっと離れたところからコメントする感」と2chの「混沌としたカオス感」がそれぞれぐちゃぐちゃになって現実世界上に表現されてる。それがセカイカメラなのだ。理屈ぬきで未来を感じる。リアル世界とネットとのマッシュアップでみんなでつくるARは本当にすごい可能性を秘めてる。
ニコニコ動画でも一般ユーザの紹介動画があるので、ご覧になるとよろしいかと。
■秋葉原での実験的試み
で、数日前に秋葉原を見に行ってきた。友人から聞いた「秋葉原のすごいこと」はこれを読むとよろし。
秋葉原でも公開初日の9月24日(水)はさほどエアタグはつけられなかったが、それでもヨドバシカメラや駅周辺にはその場所の写真や挨拶を投稿したもの、中には「秋葉原愛してる!」といったエアタグもつけられているのが確認できた。
反応が加速したのは2日目から。ユーザが書き込んだエアタグの数が急増、特にリナックスカフェの前を中心に「姉ヶ崎...」と表示されるエアタグが秋葉原中のあちこちで大量に書き込まれ、場所によっては画面がそのエアタグで埋め尽くされるほど。このエアタグの中身は「姉ヶ崎寧々参上!」「姉ヶ崎寧々りなかふぇなう!」などというテキスト。姉ヶ崎寧々というのは、現在大流行しているニンテンドーDS用恋愛シミュレーションソフト「ラブプラス」に出てくる少女キャラクターの名前。ある人物ががいたずらで大量に書き込んだものとみられる。
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/blog/archives/2009/09/sekaicamera.html
新しいサービスが出たとき、思いもよらない使い方をするのは世の常。秋葉原のリナカフェ周辺にとあるユーザのコメントが沢山できてしまったのは、とある愉快犯のしわざ。こんなのはいつの世にもいるし、新しいサービスを予想もしないような楽しみ方で面白くしちゃうやつはいつの世にもいるものだ。はてなブックマークが出来たときにも、これはひどいタグをつけて炎上させていたような祭り好きの人たちが多くいたはずだ。
■今後どうなっていくんだろう
セカイカメラはサービスが開始されたばかりで、楽しんでいるのはまだまだ少ない。実際、私の周りのiPhoneユーザでもセカイカメラを知らない人もいる。
けど、間違いない。仮にセカイカメラじゃないとしても、現実世界とコンテンツのマッシュアップというコンセプトのアプリケーションは流行るだろう。開発者はいかにしてユーザを囲い込んで快適に楽しめるかを考えていく必要があるのだろう。
この混沌とした状況は黎明期としての勢いを感じさせる。
しかし、広くユーザに受け入れられるためには、コメントに重み付けをしてコンテンツを選別する仕組みが必要になるだろう。。それは、集団の叡智を利用して篩いにかけるような仕組みなのか、あるアルゴリズムにしたがって自動で選別する(Googleのページランクのような)仕組みなのかはわからない。まぁ、ともあれそれは先の話だ。
OpenAir APIを公開することにより,サードパーティも「エアタグ」を組み込んだアプリケーションを開発できるようになる。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090929/337923/
今後はこの類は通信機能を備えたガジェットも出てきたりするのだろう。動画と静止画の撮影機能つきで音声認識を備えたサングラス型なんて製品をすでに考えてるやつとかいるんじゃなかろうか。
まぁ、今後どうなるかわからんけど、もしかしたら、未来の人はこう語るかもしれない。
「Googleって昔は凄かったかもしれないけど、所詮はWeb上だけの世界だよね」
そんな時代、意外と早く来るのだろうか。世界はものすごく早いスピードで進化し続ける。