流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

ウェブ時代をゆくを読み終えて


ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)


読んでいて感じたのは、梅田先生の気迫。これが魂の一冊ということだ。


既に語られていることだと思うが、本書全般にわたっては既に紹介されている内容も多く、シリコンバレーや業界の最先端を知ろうとしている人にとっては、確かに物足りない一冊かもしれない。


けれど、それ以上に書かれている内容が指し示す内容は示唆に富んでおり、かつこれからどのようにしたらいいかを明快に書いている。それが故に、「んじゃ俺どうしたらいーのよ!?」って思うWeb関連の本たちと比較すると限りなく深い。


『英語で読むITトレンド』以来から梅田先生のブログ、著作を拝読していたおで、この内容は決してウェブ進化論を書き終えてから考えた内容ではなく、ずっと頭の中にあったものを必死に整理し、文字として書きおこした成果物というのがわかる。
梅田先生自身は、この作品を自分の分身のような、もしくは芸術作品を仕上げたような気分になっているかもしれない。


この本のテーマは梅田先生が本作の中でも触れられているが、ずっと先生が向かい合ってきたテーマの1つだろう。
以前にCnetで連載していた「英語で読むITトレンド」の中で機会があるごとに触れてきた内容で、『いかにしてプロフェッショナルとして生きていくか?』という社会人として生きていくために避けられないテーマを選んでいる。


決して新しい職業で頑張れといっているわけでもなく、大企業や中小企業で生き残る方法など(大きな組織とか小きな組織とかいう言葉で)もありわかりやすく述べている。そしてこの本には、これからの時代をどのようにして生きていくか、すべての若者に対してのエールが確信犯的なオプティミズムで書かれている。
読んでよかった、そして、自分も精一杯生きるためにどうしたらいいのかと前向きに考えさせる清清しい本だと思う。


ここからは相当推測が入ってしまうのだが、梅田先生には日本に対する愛国心というか、今の日本の現状をもっとよくしたいという想いがあるのだろう。


梅田先生は、この本を書きながら、あちら側でのもうひとつの地球の中で、日本人たちが活躍するところを思い描いていたんだろうか。


既に起こった事実よりも、これからの未来のほうが大事だと思う同世代の人たちにぜひ読んで欲しいと思う。