流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

アイピーモバイルが携帯事業への参入を断念

やはりそうか、という記事


正式確定ではありませんが、まず間違いない・・・でしょう。間違ってるところがあるかもしれんが、うろ覚えなので許して。

 アイピーモバイルが携帯電話事業への参入を断念する方針であることが4月6日までに分かった。一部報道によれば事業運営に必要な資金を集められなかったのが理由という。(Cnetより引用)

理由はたくさんあると思いますが、こんな感じでしょうか。


理由1:携帯電話事業は巨大なインフラ事業
→携帯電話を始めるにはインフラへの膨大な投資が必須。資金を集められず、巨大資本に相手にされなかったのが原因
ここは記事に書いてあるので割愛します。


理由2:TD-CDMAの特徴と基地局確保
→TD-CDMAは日本では割り当てられていない2.010G〜2.025GHz帯を利用することになっている。
検討当初、W-CDMAやCDMA2000よりも無線基地局の調達費用が安く,インフラ整備にかかる投資が少なくて済むと考えられていた。
ところが、TD-CDMAは採用キャリアが少ないうえに、機器の調達費用が電波の直進性が高い2GHz帯であるが故に,予想以上に電波が飛ばず、想定以上に基地局の数を増やす必要があり,投資額は結局W-CDMAやCDMA2000とほとんど変わらないか、それより多くなることが予想されてしまった。


ちなみに某企画会社のBBモバイルの方に話を伺ったことがありますが、ソフトバンクが日本ボーダフォンを買収した理由にも通じてます。新規参入を試みたソフトバンクも、このジレンマに相対することになり、アンテナの用地買収(借用)も争奪戦で手間がかかる。後発は大変ってことになってるという現状。
 ※)ちなみW-CDMAですがソフトバンクモバイルはホームアンテナと称して小型基地局をレンタルするというウルトラCでこの問題を回避しようとしてます。
 

理由3:携帯電話市場の飽和
ボーダフォン買収に転換した理由のひとつに「加入者をカネで買う」。加入者が頭打ちの中、自社の加入者を増やすには新たな市場を作るか 他事業者から客を奪うしかない。インフラ事業の特性として、一定以上の加入者がいないと儲からない。
 
規制緩和の中で新規事業として携帯電話事業への参入が認められ、純粋な電話事業を始めたeモバイルと、買収したソフトバンク
どちらの選択が正しいかどうかはわからない。それぞれ対照的だが、どちらも厳しいビジネスだということは否定できない。


ライバルを見渡したとき、アイピーモバイルが何のアドバンテージも無いことに気がつく。
MNPで加入者を減らしているとはいえ、日本一の加入者とテクノロジー、豊富な資金力、コンテンツの充実のドコモ。
積極的なサービス展開、顧客満足度、つながりやすさが評価され、現在最も勢いがあり加入者を集めているau
ホワイトプランなど背水の陣で携帯の価格戦略を仕掛けるソフトバンク
新規参入組で先んじたeモバイ


と考えると、訴求点がなにも無く、新規参入で遅れをとったアイピーモバイルが仮に参入しても勝ち目はなかっただろう。
市場に残ってちゃんと利益を出せるのはせいぜい2社or3社と考えると懸命な選択と言える。


大きな記事にはなってないが、今後の携帯電話の歴史を振り返るときの1つの象徴的な出来事になるんでしょうね。


※)この日記を書いたあと、4月10日にアイピーモバイル森トラスト傘下で参入にむけた準備を進めていくことを表明しました。すみません。早まったかも。でも、本当にどうするつもりなんでしょうねぇ。