流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

サン牧のアイテム課金と農業ビジネス

mixiの人気アプリで「サンシャイン牧場」というのがある。多くの方は私よりもよくご存知のことと思うので詳細は省くが、自分の牧場を持ち、農作物やら家畜などを育てつつ牧場を発展させてゆくいわゆる「育てゲー」である。

このアプリの特徴は、mixiのマイミク同士でのつながりが成長の重要なポイントになっている点で、知人同士で作物の水をあげたり害虫を退治したりすることができるところなのだ。

そのアプリの一部有料化(アイテム課金)が10月22日に始まりネット上で大騒ぎになった。個人的には「とうとう始まったかー」と思いつつ、サンシャイン牧場をマイアプリから削除するだけだったのだけど、私が想定していたよりも大騒ぎになってびっくりした。

大騒ぎしていた理由は私には理解できなかったのだが、id:LM-7さんがうまく解説している。

[Web] サンシャイン牧場は有料化したから非難されたのではない
http://d.hatena.ne.jp/LM-7/20091111

公平なルールの下存続してきた仮想世界が、ユーザが予期しないイベントにより一変してしまった。自分は何も悪いことをしたわけではないのに、人智の及ばない神の手がルールを変更し、自分が本来得られるはずだった報酬の価値を相対的に減じてしまったのだ。まさに天災とも言えるものであり、ユーザはそのやり場のない怒りを運営側に向けたのである。


なるほどそういうこと。。。まぁ、ひとことでいうと「ルール変更により、公平性が無くなった」ことに対して怒ってるのか。オンラインゲームの世界ではよくある話だが、サン牧をやってるmixiユーザの(少なくとも一部には)その耐性は無かったというべきなのだろう。あまりにもあからさまだと反発者もでるよそりゃ。

  • さておき農業ビジネス

このところ、新しいビジネスで「農業」のキーワードが出てくることが多くなった。新興国の台頭と世界的な人口の増加で、将来は資源と食料の奪い合いになることが予想されるからだ。

埋蔵資源に乏しく食料自給率も低い日本で、いかにして将来の日本で食っていくか。農業技術やIT技術などをうまく組み合わせたビジネスってできないのだろうか、そんなことを多くの人たちが考えているのだろう。

そんな中でこんなプレスリリースを見た。

BIGLOBEとマイファームの提携によるネットを活用したレンタル農園「BIGLOBEファーム」の提供について
http://www.biglobe.co.jp/press/2009/1106-10.html#02

BIGLOBEファーム」は、耕作放棄地の有効活用によりレンタル農園事業を展開してきたマイファームのノウハウに、
BIGLOBEのネットサービスのノウハウを組み合わせて提供するものです。インストラクターによる丁寧なアドバイスや、農具レンタルなどの手厚いサポートに加え、野菜の栽培に関する相談や育成状況の確認、利用者同士の情報交換が、ネットを通じていつでも行なえるなど、農業経験が浅く頻繁に農園に訪問できない利用者でも、気軽に参加が可能なサービスです。

ふむふむ。このビジネスの構成要素は大きく分けて農場と農機具のレンタル(7.5?:月額3,980円)と
ネットでの支援(専門家の指導、育成状況の把握、加入者SNS)から成り立っている。思わず「ふーん」と唸ってしまった。これまで似たようなサービスがあったかもしれんが、なかなかどうして面白い試みかもしれん。

  • リアルと仮想の狭間のサービス

まぁ、このサービスが成功するかは置いといて、リアル農場で作物の育ちっぷりをネットでリアルタイムに楽しむというのはアリだ。一歩進んで言ってみると、「リアルなサンシャイン牧場」ってあったら楽しいし、リアルと仮想現実の隙間を埋めるサービスってニッチだけど需要があるんじゃないかと思うわけですよ。

毎日の水遣りは面倒でも、ゲーム感覚でケータイからクリックぐらいはできるだろう。友達の植物と自分の植物の成長ぶりを比較して、「俺のほうが育ってるな」とか独り悦に入るのもよい。忙しい貴方でも、ケータイから「おっ!トマトがもうすぐ収穫の時期だな」とかいいつつ育ちぶりがリアルタイムに観察できるとしたら、お試しでやってみたくなるかもしれない。自分の植物が育っていく様は、さながら我が子の成長振りを見守る親のような気分になってもおかしくない。

SNSとの親和性も抜群だ。もし有閑マダムがはまってしまったら・・・
「あなたの農場のスイカ、ずいぶんと大きくなったわねぇー」
「あら、あなたのナスこそ立派よ、ずいぶんと農薬あげたんじゃなくって!?」
「まぁまぁ、皆様。うちの農園のとれたてのお野菜でバーベキューでもいかが。オーガニックですわよ」
「あら素敵なお野菜ね。オホホホww」

みたいな会話が繰り広げられるかもしれん。まぁ、マダムだけでなく、田舎育ちでいまは都会のマンション暮らしの家族にも需要はあるだろうし、はたまた、子供の情操教育にも役に立つだろう。ネックになるのは費用だ。うまくできるかわからん野菜に月額4000円もかけられん。ミニマムスタートでこれが月額200円から始められればそこそこ流行るサービスになるのではないか。

で、普通だったら「月200円で始められるわけねーだろこのヴォケ」となるわけだが、本当にそうなのだろうか。これをどうやって解決する手段として、IT業界に従事するものとして無理やり考えてみた。今流行りの「クラウド化」で考えてみる。雲の向こうにあるものを最適化してサービスとして受け取るのだ。ええっとなにが必要なんだっけ・・・?と紐解きながら考えてみる。


農場 →これは、遊休地を有効活用することで格安での調達が可能だ。 遊休地を農場化し、保有者には予め定められた定率でレベニューシェアをするのだ。土地の地権者は、ただ遊ばせておくよりはマシだと考えるはずだ。

労働力 →水やりや状況把握には、労働力がかかせない。本来であれば、センサーとロボットで実現するのが望ましいが、初期投資が莫大になるゆえ、サービスイン直後は余剰した若者の労働力を有効活用するのが望ましいだろう。つまり、遊休リソースを活用するのだ。農業に興味がある若者を集めちゃえばいいのだ。本当にそんな人たちいるのかって!? よかろう。事実、ニート米ってのがある。

 http://www.kahoku.co.jp/news/2009/11/20091115t13002.htm

 人を集めて集団農業をさせるって仕組みは現代日本版のコルホーズと揶揄されそうだが、楽しければそれでいいのだ。ワープアと呼ばれる人たちも、毎日2ch三昧が保障されれば喜んで参加するやつはいるだろうし、カリスマ農業者のランキングや認定制度などの遊びの要素を加えちゃえば、意外と楽しかったりするのではないか。

アプリ → これは作りこみが必須だろう。
 実際の作物と操作者のインタフェースや作物の成長管理、サービスを利用する利用者同士のSNSや、農場と出資者のマッチングシステムを効率的に運営する場合はアプリケーションを作りこむ必要がある。開発の規模感がまったくもって不明だが、まぁサービスイン直後はアプリ開発などしなくとも安価なWebカメラと人手の定期巡回だけでなんとかなるだろう。

  • でも、そんなのどうやって流行らすのよ?

画面上で自分の作物が成長したり、リアルな人が自分の育てている作物に水をやったりしている様を観察するのはきっと楽しいに違いない。けど、これは地味なアイディアだよなー。で、やっぱりテレビと芸能人の力を借りるしかないなコレは・・・、と思いさらに妄想してみる。

ありがちなアイディアとして、某テレビ局の某人気番組「鉄○DASH!」とコラボレーションさせてもらうってのはどうだろう。「DASH村Web」みたいな名称にして、年に1回の参加型イベントさえやれば、ジャニヲタさん歓喜間違いなし、TOKIOの長瀬君が一般の参加者と一緒に芋掘りイベントに興じたりなんかした暁には、参加者は大喜びな上にジャニーズはエコ芸人を他の芸能人に先立ってアピールできるのでいい事尽くめだ。
また、女性誌で「ゲーム感覚のエコ貢献!私の食料自給率UP大作戦♪」みたいな特集を組んでもらえば、興味を持つ女子も多いだろう。

歴女の次は農女」みたいなのをサンジャポやズームインで特集してくれれば完璧だ。女性が集まれば、男子達が集まってくる。農業に興じてる女子は草食系に違いないと根拠の無い勝手な想像を膨らませてオトコがわさわさとアリの様に群がるだろう。オトコはそういう生き物だから仕方がない。そこでカップルが生まれたらどんどん宣伝して健全な出会い系を標榜してしまえばいいのだ。


そうなったらしめたもので、ポジティブフィードバックサイクルに入る。エコはもはやビジネスなのだから、エコに敏感なスポンサーもつくし、人もあつまってくる。いろんな仕組みづくりにどんどん資金投入できるようになるだろう。

  • ・・っていうかこれ採算とれねーだろ

 採算とれなくね? そう思うのは正しい。しかし、農業の助成金があるのはご存知だろうか。詳しい仕組みは知らんが、それをフル活用するのがよい。施設整備等の資金の助成、農業後継者や担い手に対する育成資金などなど。
 主に地方公共団体やらJAやらで決めているらしいので、担い手が不足しているところに声をかけてリバースオークション形式で調達してみるってのはどうだろう。

  • まとめ

と、まぁ自分なりに考えてみたわけだが、ゲーム上で不公平感があるなら、リアルで実現してしまえばいい。リアルな現実を目の当たりにしたいかどうかは知らない・・・と、ここまで書いたところで、こんな勝手すぎる妄想で気を悪くする人もいるかもしれずガツンとやられる可能性があるので、とりあえず酔っ払いの独り言として心の中にとどめておくことにします。今日はここまで。