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流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

クラウドコンピューティングって何?(その3)


クラウドコンピューティングでどんな種類があるかはわかったけど、いったい何がすごいのだろうか?一番簡単なのが、Amazonを使ったインフラ寄りのサービス(EC2とS3)がわかりやすいだろう。クラウドコンピューティングで、従来にない設備増強を行った例として、AnimotoとNewYorkTimesの例がある。


Animotoは投稿した写真と音楽をもとに動画生成してくれるWebサービスだが、わずか3日間にユーザ数を25万人増やし、その際のインフラ増強として、サーバ50台から4000台に増強した実績を書いている。以下ITproからの転載。


2008年4月。創業からまだ半年というスタートアップ企業,米Animotoは大きな決断をした。同社はユーザーが投稿したデジカメ写真と楽曲とを組み合わせてミュージック・ビデオ風の動画を生成し,動画をユーザー間で共有するWebアプリケーションを提供する企業だ。そのアプリケーションを,米国で人気のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS),「Facebook」で使えるようにしたのだ。


狙いは当たった。わずか3日間で,Animotoのユーザー数は2万5000人から,25万人に急増したのだ。もっとも,スタートアップ企業にとってユーザー数の急増は諸刃の剣。アクセスが殺到してサービスが利用不可能になれば,評判を一気に落としてしまう。


 ところがAnimotoは,ユーザー数が10倍に拡大した3日間で,サーバーの台数を50台から4000台にまで増強してみせた。Animotoの躍進を支えたのは,米Amazon.comの子会社,米Amazon Web Servicesが提供する「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」と「Amazon S3(Simple Storage Service)」だ。

 Animotoは,Amazon仮想マシン・サービスであるEC2上でサーバーを運用し,ストレージ・サービスのS3にユーザーが投稿した写真や動画を保存している。サーバーやストレージをAmazonから「借りる」ことで,ユーザー急増に対応したのだ。

スタートアップ企業ではなく、大企業が社内向けサービスに導入する例もある。


 企業が社内で利用するコンピューティングに,PaaS/IaaSを利用するケースもある。米New York Timesは2007年末,過去100年分の新聞記事をPDF化するために,Amazon EC2を使用した。合計で数T(テラ)バイトに及ぶ40万5000個のTIFF画像をPDFに変換するのに,Amazon EC2上の仮想マシン100台を24時間使用したという。その際にNew York TimesAmazonに支払った料金は,EC2の使用料が240ドルで,データ転送料が1000ドル程度だと見られる


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081007/316290/?ST=cloud

これまでも、サーバのレンタルやホスティングサービスはあったが、明らかに「主役」ではなかった。では、クラウドコンピューティングはなぜ、こんなにも騒がれているのか?理由は二つある。

  • その1:安くなった

機器やミドルウェアの製品価格が一昔前と比較して段違いに安くなり、サービス提供者が提供するサービスの価格が安くなった。また、仮想化や管理ツールの進歩に伴い、マシンリソースを効率的に活用できるようになった。これにより、クラウドコンピューティングを提供するための機器の調達コストを格段に安くすることができるようになった。機器の購入は、大量に購入すればするほど1台あたりのコストを低くすることができるのはご存知のとおり。当然の話だ。
また、機器のコストがいかに安くなっても、それを管理する人のコストを(管理するのが人である限り)低く抑えるのは限界がある。多くのマシンを効率よく稼動させるためには、マシンを効率よく稼動させる環境(大規模データセンター)が必要であり、その環境で多くのマシンを効率よく運用するためのノウハウや管理ツールなどの充実が必要とされてくる。


GoogleAmazonは保守コストの詳細を明らかにしていないが,同様に大規模なデータセンターを運用している米Microsoftは,1人のシステム管理者が管理するサーバー台数の目安を5000台としている。大規模データセンターの運用コストは,一般企業のそれと比べものにならないほど低い。だからこそ彼らは「買うより安い」サービスを,第三者に提供できるのだ。


企業内情報システムの世界においてもスケールメリットを活かし、大規模データセンターを運用しているノウハウを活かし、安価にサービスを提供することが可能なのだ。

  • その2:使いたいときに使える

数年前までは、マシンのリソースを追加使用とした場合、マシンを購入し、マシンを設置したうえで、ソフトウェアのインストールや設定などをしなければならなかった。要件定義を行い、ファシリティプランニングしてから実際の導入を行うまでの期間は数週間かかったりすることが多く、大規模システムの場合は数ヶ月かかることもザラにある。ところが、EC2の場合、ITリソースを「欲しいときに、欲しいだけ」 使えるのである。Amazon EC2の導入に関しては、ITproExpoでお披露目された「ITproレコメンド」開発記を参照されるといいだろう。


サマリだけ書くと、こんな感じ
・7月24日 プロジェクト本格始動、要求仕様を見積もり先に作成依頼

 5種類の仮想マシンをもとに、ベンチマーク試験を実施

・9月9日 パッケージのカスタマイズ版が到着

・9月15日 テスト稼動開始 (記事作成と平行作業のため、導入に時間がかかったらしい)

・10月15日 ITproで本稼動

という流れだ。インフラ導入だけなら、にでもモノが届き、使用量さえ払えばすぐにでも使える。このくだりは、テスト稼動開始のところに書いてある。

 助かったのは,EC2のリソースが無尽蔵にあったことだ。テストや別の作業を並行して進められた。例えば,編集部が2GHz相当の4コア機をすぐに用意かつ廃棄するのは,実機では不可能に近い。大規模サイトの新サービスまでユーザーの立場で構築できてしまうのはクラウドならではだろう。


サービスの柔軟性と料金の低廉化が以前とは段違い進化し、利用者に対する敷居が低くなり、導入がすすんでいる。
この流れは誰にも止められないだろう。




これはまさにイノベーションのジレンマなのかもしれない。
サーバ1台あたりの持続的イノベーションが顧客のニーズを超えて、破壊的イノベーションであるクラウドコンピューティングが台頭してきている。
これを見ると、ITベンダーの主役交代がされようとしてるのかな・・・、という予感もしてくる。