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流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

編集王を再読し思う


普段、あまりマンガは読まないが、学生時代にはたまに読んだ。私の世代(1975年生まれ)は小学校時代は北斗の拳キン肉マンドラゴンボール、ハイスクール奇面組、などなど、週刊少年ジャンプの漫画が人格形成に少なからず影響を与えていると思うことがある。最近になって、ビックコミックスピリッツに連載された「編集王」を思い出すことがあり、ひさしぶりに漫画喫茶に行き再読してみた。今読んでも十分に面白い。


編集王という作品は、出版業界(おもにマンガ業界)の話を、その業界に身を置く者の視点から痛烈に批判する作品だ。低視聴率ではあったが、ドラマ化もされたので知ってる人は知ってるだろう。
元プロボクサーの主人公カンパチが編集者見習になり、「純粋な主人公からみた出版業界のウラ側」といった視点からマンガ業界を鋭くえぐる作品で、マンガと写真集などで生計を立てている出版業界の実情や、アンケート至上主義や再販制度問題などの出版業界の問題点が描かれている。出版業界を全くしらない一般人からすると「へー。そうだったんだ」と、素直に思わされる部分が多く衝撃的で、当時学生だった自分には「間違いなくこの業界には入らないだろうな」と変な決意をしたのを覚えている。


漫画作品としての質が高く、浪花節の泣かせる「ド演歌」な漫画作品で自分も思わず涙してしまった。強引に泣かせるその手法は、嫌いな人には受け入れられないかもしれないが、自分は嫌いじゃない。この作品を好きだという多くの人はマンボ好塚の話が印象に残っていることだろう。

以下Wikipediaより引用

マンボ好塚
戦後のコミック史に名を残す巨匠漫画家。一応現役だが、現在はほとんど自分では描いておらず、酒とゴルフと釣りの毎日。重度のアルコール依存症。ヤングシャウトには「しれとこ番長TAKE2」という作品を連載中。人気も最低だが、コミックスがそこそこ売れるという理由で掲載されている。カンパチたちと出会い、若い頃の気持ちで真剣にマンガに取り組むことを決意し、再起を賭けて「あした」を描き上げた日に心不全で死亡する。


いや、本当に泣けてしまった。
だが、私にとってはそれ以上に明治一郎の話が猛烈に印象に残っている。

明治一郎
少女漫画誌から転任してきた編集者。青梅とは旧知の仲。仕事にやる気は全くなく、アフター5の風俗通いが生き甲斐。本占地と組んで、新人漫画家を利用して「エロ」を主題とした作品「抜かずヌルハチ」をプロデュースし、社会現象となるが、有害図書指定され担当を外される。破滅的な彼の行動には、
エリート家庭に育ち、いじめられっ子であった生い立ちに秘密があった。

明治一郎は徹底的な合理主義者。その明治が新人漫画家を利用してエロマンガである「抜かずヌルハチ」をプロデュースし、社会現象となるが、有害図書指定され担当を外されるという話。作中の途中までは徹底的なヒールとして描かれた彼には、生い立ちがあった。自分の人生を救ってくれ、自分が信じて疑わなかった「エロ」の道。その道に邁進して大きな仕事をするが、当然の成り行きで仕事を外されてしまう。


過去を振り返り、自分が歩いてきた道を再確認してみる。
自分が信じて歩いてきた道が信じられぬとき、かつて自分が蔑んだ道がなんだか羨ましくなってしまったとき、自分が選んだ道が自分の信念ではなくなってしまうとき・・・。
そんなとき、人は何を思うんだろう。


自分のバックグラウンドになっている昔の自分の人たちにあいながら、自分が歩んできた道を確認し、さらに迷うって経験、多かれ少なかれ、誰にもある経験だと思うんですよ。


自分が信じた道が、本当に信じるべき道なのか。常に考えていたい、そう思うのである。