流されず逆らわず

コンピュータ関連のお仕事をしております。不惑を超えても惑い続ける男です。二児の父。

リテラシー向上の必要性


先日、友人から突然夜中に電話がかかってきた。


「俺のPCが壊れた。なんとかしてくれ」


話を詳しく聞いてみると、PCの挙動が不安定になり、重くなったり、何も起動していないのにポップアップ画面がバンバン出てきてしまうという、ウィルス感染とスパイウェアがインストされまくったという状況であった。


その友人はPCの知識はほとんど皆無に等しく、昔(5年ほど前)のPCを使用しており、ウィルスソフトなども当然のことながら導入していない。
さらに、ウィルスの駆除方法も導入ソフトのインストはおろか、スパイウェアの存在などもほとんど知らない様子だった。
そこで私は、その電話でウィルスに感染した疑いがあるため、PCを使わないように説明した。そこで暇な昨日の晩を利用してPCの修理に行ってきたわけである。


数時間の格闘の末、PCは無事に治ったのだが、ウィルスが10個発見、スパイウェアも40個近く入っており、よく動いていたなーという状況だった。
しかしながら、それよりも驚いたのが、そんな彼のPCに知らないソフトがインストされている。。。


「ん?一体このアイコン何?」 と聞いてみたらライムワイヤー(Lime Wire)というソフトで、ファイル共有ソフトの一種らしい。
WinMXがサービス停止に陥り、Winnyに対し風当たりが厳しくなっている最近でも、類似した共有サービスが雨後の筍の如く、百花繚乱という状況のようだ。


てっきり絶滅したと思っていたのに。


思えば何年前だったろうか?
Napsterのサービスが盛り上がってきたときには、急いで東京めたりっく通信に申し込み、その後はBフレッツWinMXを楽しんでいたのだ。だが、いつのまにか映像を楽しむよりもコレクションをするほうに喜びを覚え、本来の目的を失いつつあったのだが、MX関連の逮捕劇あたりからファイル共有サービスは行わなくなってしまった。


そんな昔と現在を比較すると、音楽配信も映像配信も、ネットの低廉化とブロードバンド化で5年前と比較すると格段に接続環境が向上した。
ネット配信を当初はバカにし、その後脅威としてみなし、何とか対策をせねばと共存できる道を模索し始め、音楽業界やテレビ業界がネット配信に対し重い腰を上げた。
その結果、テレビ局による映像配信やGoogle Videoなどのビデオ検索サービス、YouTubeGyao、そしてiTunesMusicStoreやポッドキャスティングなどの今までにないサービスがいろいろと出てきた。


一方で、LimeWireなどのサービスがまだ生きているとは驚きだ。
サービスの内容はおろか、インタフェースなども昔のNapsterとほぼ変わらないではないか。
おそらく、LimeWireもメジャーなサービスになればお取り潰しにあうという
悲しい運命をたどるのだろう。


この手のファイル交換サービスは著作権をチェックする機能がないので、アップロードされるコンテンツに制限をかけられない。
接続するユーザは多種多様なので、当然のごとく著作権違反のコンテンツもアップロードされることだろう。そんなサービスがメジャーになると、いろんな業界からの圧力がかかり、おとりつぶしとなってしまう。この手のサービスは出ては消え、消えては出てくる運命なのかもしれない。


そんなP2Pが今後生き残る手段としては、YouTube+ファイル共有しかないのではないか。
現在のYouTubeはサーバ型のコンテンツ配信であり、インフラの増強面で金がかかりすぎていると聞く。いくらサーバやストレージが安価になったといっても、動画データを扱うには金がかかりすぎる。
また、途中のネットワークがボトルネックになりかねない。これを解決する手段としては、サーバ側にデータを蓄積する一極集中モデルではなく、ファイル共有+αしかないな。。。
・・・ってなことを、友人のPCを修理しながら思ってました。


話を戻すと、友人のPCのウィルスの感染経路は、
「ライムワイヤーでダウンロードしたファイルのexeファイルをダブルクリックしたらなんかパソコンがおかしくなった」
らしい。
なんでそんなことをしたのか聞いてみたら
「だってWinnyじゃなければ安全なんでしょ?」 ときたもんだ。


この友人、以前にもYahooのIDを何者かに乗っ取られ、オークション詐欺の被害にあうところをなんとか食い止めたことがある。本当に危ないやつだ。

こいつには1から教えてあげないといけないな、と思った。